「ほんとに良いのか?」
「うん、俺が持ってても宝の持ち腐れで読まないし...」
日曜日
学校が無いこの日
俺はアナタに本を届けると言う名目で家を訪ねた
昼から部活があるから長居は出来ない
でも、いつもは会うことさえままならない日曜日にどんな理由であれアナタの顔が見れる
それだけでも幸せだって思わなきゃね
そう自分を納得させて目の前のアナタへと視線を移した
家に埋もれてた外国の本
俺にしてみればまったく興味もないし読む気も無かったただのゴミ
それがアナタの目に留まった瞬間からとても価値のあるものへと変化した
アナタにとっても
俺にとっても
その本を俺の家で見つけた時のアナタの顔
俺は一生忘れないと思うよ
『いるならあげるよ』
そう俺が言ったとき、アナタの顔は今まで見たことが無いほど輝いていた
その顔がまた見たくて量も結構あったから、何冊かをその日に渡して残りを俺が持ってきた
俺の手から本を大切そうに受けとるアナタの顔は高揚からか少し赤みを帯びていて
思わず抱きしめたくなる
手を出しそうになるのをどうにか我慢しているとアナタが嬉しそうに顔を緩めて俺を見る
あぁもうそんな顔しないでよ
俺の心の中の葛藤を知らないアナタは初めて見る笑顔を俺に投げかけてきた
も う ダ メ だ ...
我慢なんて出来るわけが無い
「二見、サン...っ!!!」
ここがアナタの家の玄関前だということも承知の上
アナタが俺に礼を言おうとしたのも分かっていて
その言葉を遮るようにアナタの唇を俺のそれで塞いだ
アナタが悪いんだよ...
アナタがいつもみたいに不機嫌な顔じゃなくて
そんな笑顔を見せるから...
心臓がバクバクと音を立てて鳴り止まない
それを悟られないようにそっと唇を離した俺は
呆然として動けないアナタに向かって
「礼には及ばないよ。ごちそうさま」
いつものように笑みを浮かべてウインクした
**
重ねた本
二主...また二主...欲求不満な二見ん&素直な主...みたいな(汗)
少女漫画的思考になっているんだろうか...私
そんなことを言ったら少女漫画に失礼ですね(泣)