ヒラヒラ風になびくスカート
女子の特権のようなソレを履き、クルクル目の前で回ってる人間の体型は明らかに女子のものではない
なぜ?
そんなこと………俺に聞かれても知るか!
学舎祭が10日後に迫ったその日
俺の目の前に黒のタイトスカートトに身を包み薄化粧をした二見と、パステルブルーのスカートを身に纏い薄化粧をした槌谷が現れた
コチラを見ながらニコニコしている二見とスカートがヒラヒラするのが面白いのかクルクル回る槌谷
俺は椅子に座ったまま二人を見上げて
「変態」
抑揚無く言った
その言葉に二見は『率直な感想ね』と苦笑を浮かべ、槌谷は『ノォォォ!!』と叫んで壁にへばりつく
そんな二人の姿を眺めながら一つ大きなため息を吐いた
「で、なんでそんな格好してんだよ」
「え、アナタ聞いてないの?」
「何のことだ?」
「何のことだって…ねえ?!」
「生徒会の出し物に協力お願いしまぁ~す♪」
そう言うと槌谷が一枚の紙を俺の目の前に出してきた
そこには催事実行委員会という見出しがあり、その下には何人かの名前が書き連ねられている
書かれている名前を上から順に読んでいくとそこになぜかそこに俺の名前があった
「なんだ?これ...聞いてねえぞ!」
「あれ?でもひふみ先輩がアナタにも昨日声掛けたって言ってたけど?」
「はあ?そんなの.........あ...」
そんなこと言われてない...そう続けようとしたとき、昨日秀真先輩に話しかけられたことを思い出した
『お願いがあるの』
『なんですか?』
『アナタにお手伝いして欲しいことがあって』
『......モノによりますけど...』
『そんな大変なことじゃないの。ダメかしら?』
『......俺が出来ることだったら...』
『もちろんよ。じゃあ明日の放課後生徒会室まできてくれる?』
あのキレイな顔でにっこり微笑みながらそんなことを言われて、果たして嫌と言える人間が居るのか?
俺も例に漏れず先輩のその笑顔に絆されて無意識のうちに頷いてしまっていた
秀真先輩に今までされてきたことを忘れ果てて...
思い出してガクッと首を垂れる
またか...なんでこう学習能力が無いんだと言いたくなる
自分でも頭が悪いとは思わないが、何かに目を奪われると一瞬思考が停止することがあるんだ
あの先輩には良くそんな状況になってちゃんと内容を確認しないままにお願い事を引き受けてしまい後で後悔することが多いのに
自分の軽率さを悔やみながら悶々と考え込んでいるといきなり身体が重力を感じなくなる
現実に引き戻され、なんだ?と視線を上げると目の前に槌谷の顔があって思わず仰け反った
それと同時に天地が逆転する
「わわわ...危ないなりよ~」
「ほんとに。オレが居なきゃ落ちてたね」
何かに頭を支えられ俺の足元からする声に視線をそちらに移すと見えたのは電灯で
なんで電灯がそこにある?
なんで俺はさかさまになってるんだ?
そんな全ての疑問を解決したのは二見の言葉だった
「ほら、さっさと抱えなおしなよ、槌谷」
「らじゃ~!」
抱えなおすだと?
そう思っている間に頭が持ち上げられて体勢が元に戻る
でもそれは足が地面に付くというわけじゃなくてまた目の前に槌谷の顔がくると言う状態
「ホントは俺が抱っこしてあげたいけど、スカートがこれだから槌谷で我慢してね」
「ぬお!二見!それは聞捨てならぬよ!!」
「だって槌谷落としそうだったじゃない」
「ノンノン!ノォプログラム!!」
Problemだろ...
二人の会話に混乱しながらも突っ込みを入れているといきなり身体は動き出し凄い速度で移動していく
俺の横では同じように走る二見の姿がある
自分の今の姿を想像した俺は恥ずかしさのあまり槌谷の胸をバシバシ叩いた
「下ろせ!この...」
「ダメよ~ん!いっつん急便は大事なお荷物を丁寧に~♪」
「もうあの犬とパシリくんも終わってるだろうから早くしないとね」
犬?パシリ?
イヤな予感がしてくる
眉間に皺を寄せて二人の顔を何度も往復する
すると二見はにっこり、槌谷はにへらと顔を崩して
「じゅりの服は可愛いピンクよん」
「結構スカートの丈が短かったから気をつけてね」
天使のような笑顔で悪魔のように凶悪な言葉を口にした
二人の言葉に俺の思考回路は既に限界ギリギリで
「いやだぁぁぁぁあ!!!!」
俺は高校生活で初めて、ひと目も気にせず廊下で叫んだ
男に抱きかかえられてる時点で既に終わってる...
**
ミニスカート
これはなんて言うんでしょう?
ひふみさん最強伝説?!
一応2-Dのつもりではあるんですが...そうは見えない拙い文章(泣)