なぜ、あの体勢なんだ...?
プールサイドにあるベンチの上
水から出た後にダレたのか、横になってる槌谷の下にはうちわが一つ置かれている
そのうちわを手にしたまま気持ちよさそうに眠る槌谷の顔はとても楽しそうに崩されていた
どうみても体制的にはムリがあるように見えるのにな...
この手は要らないだろう...この手は
誰もいないと分かっていたが一応辺りを確認して柄を持つその手を取ってみた
槌谷の指に自分のモノを絡めて団扇を外そうと試みる
でも思った以上に強い力で握られているソレは中々その手から離れようとしない
それはまるでこれが大切なもので離さないとでも言ってるように見えて...
その態度になぜか少しイラッとした
俺は団扇の扇の部分を両手で持ち、柄を握り閉めた槌谷の手はそのままに、一気にそれを抜き取った
その瞬間、槌谷の顔が少し歪んだように見えたけど気にしないことにする
手を離さない槌谷が悪い!
そんな自分勝手な理由で終わらせた俺は手にした団扇を扇ぐ
気温が高いせいで涼しいとまではいかないが、吹いてくる風が心地いい
団扇はこうやって使わなきゃな...
パタパタ扇ぐピンクのうちわになんとはなしに視線を移す
ん?
槌谷の手から奪い取ったときには気付かなかったが、扇ぐ瞬間、裏側に模様のようなものが見える
何だと気になって扇ぐ手を止めるとピラッとそれを裏返してみた
「な......なっ......」
そこにあったのは槌谷と俺が二人で写っている写真
落ちないようにピタッと貼り付けられたその写真を見ていると
「ん...じゅ、り~......」
槌谷の声が聞こえてきて視線を移した
未だ眠る槌谷の顔には幸せそうな笑みが浮かんでいて、その声と表情に俺の頭が沸騰したように熱くなってくる
熱を少しでも逃がそうと手に持つうちわで扇いでみるけど、それと同時に見える模様にまた顔が熱くなって
もうダメだ...
俺は槌谷の手にそっとうちわを戻したあと、頭を冷やそうと階段に続く扉へ足を進めた
好きな人の夢をみるには頭の下に写真を敷くといいらしい...
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団扇片手に
中途半端で挫折...しかもやっぱりお題に合ってない(泣)
書いてる最中に浴衣着て夏祭りネタとかのほうが良かったかも...なんて思ったけど後の祭り(汗)