ツン
本を読んでいたらいきなり首筋に何かが触れた
なんだと思って顔を上げると二見がニヤけた顔でコチラを見ている
周りにはコイツ以外誰も居ない
ということはこの首に触れてるのはコイツの指か
「なんだよ」
置いた指を動かすことも無く緩く突いてくるだけの二見に俺は視線を止めて口を開いた
すると二見は笑みを深くし爪を立ててまた首を突付く
「ここ...」
「は?」
「ここに、ほくろがあるとそそられるよね」
「はあ?」
いきなり人の首を突付いてきて何かと思えばほくろだと?
「おまえなぁ、何度も言うけど...」
「そういうことはアナタじゃなくて女子に言え?」
言おうとしていたことを先に言われ肩透かしを食った
「分かってんだったら...」
俺に言うなよ...
最後まで言う前の二見の顔が間近に近づいてきて思わず瞼を閉じてしまう
それと同時に触れてきたのは柔らかくて温かいもの
触れたその場所は先ほどまで二見の指があった場所だった
「ふた、み...?」
目も開けず何が触れてるかなんて考えることも出来ず
ただ身を硬くしてそれが離れるのを待っていた
チリッ
突然その場所に痛みが走り
痛みのあと微かに生じた熱
一体何が起こったのかと首筋に手を当てると触れていたものがゆっくり離れていく
離れたそれは熱を持ったまま少しだけ移動し
耳の後ろで動きを止めて優しく甘い声を発した
「ねえ知ってる?」
脳に、心臓に、直接響いてくるような声
「内出血って同じ場所に何度も作るとほくろになるんだって」
その声に自由を奪われ俺は動けなくなる
「ためしてみようよ...」
いつか俺の首もとにはほくろが出来ているんだろうか...
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首もとのほくろ
内出血が何度も同じ場所に出来るとほくろになるらしいと聞いて...
話が纏まってないのが...いつもどおりだけど悲しい(泣)